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2019.6.12.(水)

雑記67

★空いた時間に本を読む。これは読みたいから読むという以上に、積読本が溜まり過ぎた結果による。

★世間や周りの評判がいいからどんなもんだと思って読んでみた本、聴いてみた音楽もあるけれど、全然ピンと来なかった時。それが答え。受け取った結果、違和感や嫌悪感を抱いてしまった時。これはその感情に何かが隠されているということかも知れない。単純に自分の準備が整っていない場合もある。

★最近は朗読とか、言葉に比重を置いた活動をしている、ように見えるかもしれない(実はそこまでそうでもない)。確かに言葉への意識を高めるにはいいと思うし、そういう場を創ろうとしているのは、その通り。文章や詩、歌詞を書くにも、こうしてブログやSNSで発言するにも、また普通に日常生活を営んでいく上でも、常に言語化する努力を怠ってはならないと思う。「言葉じゃない」「言葉にできない」なんて簡単に言う人を僕は最も信用してない。けど自分で音楽を作る場合、言葉に傾き過ぎることも、メロディ(サウンド)に傾き過ぎることも恐らくないと思う。聴く分にはそういう音楽も聴くし、好きなものもあるけど。自分でやる場合はその両方のマッチングが一番大事。

★最近、西村賢太が気になる。『苦役列車』で芥川賞を獲った人。今の時代珍しく無頼な印象のする人だ。彼は「私小説家」を名乗っているんだけど、私小説ってなんだろうな、ってずっと思ってて。何だというのは在り方としてどうなんだ、ってことなんだけど。僕は太宰治にも私小説ってイメージを持ってる(もちろんそれだけじゃないところが太宰のすごいところだ)けど、僕は音楽を作ったりする時にも、悪い意味で日本的で矮小な私小説世界に「堕する」のを昔から嫌っていて。四畳半なんとかとか貧乏臭いし勘弁してくれとも思うし。自分でやる場合の話だけど。でもそうではあっても自分というのは出ちゃうから。それは自分ではわかってるからね。要は常に自分って何だ?っていう(逆に他人って何だ?世界って何だ?っていう)、表現する者には未来永劫付きまとう話なんだけど。自己を顕示しようとすればするほど、どこにでもいるような人になってしまったり。逆に普通でいいんです、って生きている人に普通じゃないものを嗅ぎ取ったり。私小説っていう、もうそんな個人的なドロドロを見せてくれるなよ、っていう分野から、どのようにして普遍性に向かえるかっていう過程に興味があるのかも知れない。西村さんはどういう風に自分をとらえて、どういう風に自分を持っていくか、っていうこと。ものすごく極端な話、個人的な部分が出発点でしかない表現というものは、どういうルートをたどろうと、その程度がどうであろうと、普遍性に向かえなければ1ミリも価値がないと思ってるんで。家から一歩も出ない、誰にも知られることのない表現は表現とは言えない。

★だからポピュラリティってものをを頭から否定する人とは話ができないんだ。お前だって音楽の世界の入り口はゲーム音楽とか歌謡曲とかそういうのだろ?って思うし。大体いかにマイナーな表現物だろうと、その人に届いたってのは、表現者側が世界に向けて発信したからだろうし、靴をはいて家から出た結果なんだよね。その人なりにポピュラリティを求めた結果なんだ。だからそういうものを完全否定する人には矛盾とウソ臭さを感じてしまうんだ。

★ライブハウス云々問題もネットを賑わわせているんだけど。「ライブっていうのは人に知ってもらうためにやるもんでしょ?」っていう意見と。「いやいや、ライブなんてただやりたいから、その衝動こそが一番大事だから」っていう人と。両方正しいと思うんだ。ただこれも上記に同じく、家を一歩出て、ライブハウスでやるっていう時点で大なり小なり自分を世間に問いたかったんだろうし、ポピュラリティを求めた結果であるとは思うわけで。まあきっとその人なりのバランスってのがあるでしょう。

★街が眠りをさますころ/あなたはどこにいるのでしょうか/僕はここです/川のほとりの/丘から昇ってくる太陽が/悲しく照らすあの家です/街が眠りをさますころ/僕はまだ夜にとらわれていました/あなたがいなくなったあの夜に/必ず朝は来る、人は言う/街が眠りをさますころ/僕はひとり眠りの中に落ちていくのです

★最近立て続けに歌集を買う。千種創一『砂丘律』、萩原慎一郎『滑走路』。どちらも話題になった歌集。残念ながら萩原さんはもうこの世にいない。うーん短歌ってすごいな。形式的には万葉集のころからあるものでしょう。厳密には「和歌」と「短歌」は分けられているみたいだけど。この31文字はまだまだ新しい感覚を表現できそうだ。

★もうゲームは卒業したつもりだったが、メガドライブミニを思わず予約してしまった。昔欲しかったけど買ってもらえなかったんだよな。僕くらいの年齢だとゲームに人格作られた人間も多いだろう。

★自分の身の回りのほんの狭い範囲にも、まだまだ通ったことのない道、見たことのない景色、会ったことのない人はいるものだ。すべては自分から。自分のすぐ近くから。

 

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