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2014.5.4.(日)

仁義なき前哨戦その4+α

「仁義なき前哨戦」についてブログを書き始めて早数回。ざっとまとめて終わろうと思っていたのに、暗雲立ち込める長文傾向、もう引っ込みがつかないんで、書きます。前哨戦は今回で書き終わります。前哨戦以外のライブの日記も織り交ぜて。

■4月19日「メガホンズレコ発」

 この日は高校生バンド、メガホンズの初のEP『伝』の発売記念イベント。福井ホールビーでした。ホールビーでライブをやるのは12月1日にイセユウさんやrefrainとやった『星めぐりの歌』以来2回目。もっとホールビーでやりたいんだけどな。まあそれはさておき、メガホンズのアルバム。録音もミックスも自分たちでやったとかで、意気込みを感じます。僕はそういう音源好きでね。自分でミックスしたようなやつ。僕も自分の音源は自分で録音・ミックスやりますし。(弾き語りだけどね。笑)何にせよ自分たちで制作し、発売にこぎつけてイベントまで企画してしまうんだから、大したもんだねメガホンズ。僕が高校生くらいの時にはそんなこと夢のまた夢のようなことでした。

 高校生バンドも3つくらい出てたし、僕は出演者最年長でした。もうそんなことどうでもいいんですけどね。同じ日に同じイベントで同じステージに立つんだ。僕らはもうその時点で仲間だし、ライバルですよ。年齢はいい意味で関係ないし、いい意味で関係ある。つまり僕は僕のライブをやりたい。それを目の前の人たちに観てもらいたい。それだけです。高校生は高校生にしかできないことを。僕は僕にしかできないことを。目指すのはいつもそこ。

 Human Head Hackとは初対バンですね。去年の仁義なき戦い代表。ちなみにrefrainの現ドラマーゆかっちが以前やっていたアマイトというバンドは一昨年の仁義なき戦い代表だそうでした。仁義代表新旧そろい踏み。Human Head Hackは僕の出番の前でしたが、ベーシストの拓也が「松並さんがやりにくくなるようなライブをする」と言ってました。結構な意気込みだが、それは無理だろう、と思いました。後から振り返っても19日~21日の僕は何かスイッチ入っていたような気がします。それは主観的な感覚にしか過ぎないかもしれないけど、この3日間は勢いもあったし、ステージ上で演奏している時にリアルタイムで自分が成長しているのがわかったんだ。ちょっとやそっとでは僕に勝つことはできないよ。自信過剰ではなく、そういう感覚がありました。

 僕が演奏しているとき、一番前で高校生たちが観ていてくれた。僕はメガホンズに感謝した。高校生を目の前にして演奏できる機会を作ってくれたことに。おかげで、自分の音楽が高校生にも通用することがわかったよ。目の前で涙を流しながら聴いてくれた人が数人ステージ上から見えた。涙を流してくれてありがとう、とは言わない。僕は人を感動させてやろう、と思って歌うことはもうやめたんだ。お涙頂戴は嘘くさいから。でも泣いてくれた人がいて、僕は彼らを誇りに思う。何かに感動して涙を流したその体験を、大切にしてほしいと思った。この日はその対象がたまたま僕だった、ってだけの話に過ぎない。感動は人から与えられるものではない。自分の中から湧き上がってくるものだ。僕はそう思う。ねつ造のものではない、本物の感動を得たとき、それは人生で最も幸福な瞬間だ。大事にしたい。大事にしてほしい。

 みんなそれぞれ頑張って、楽しいライブをしていました。refrainも久しぶりに観たけど、ロックにひび割れたライブをしていて最高だったな。cat foot bathも全部ひっくるめて楽しいライブをしているように見えたし。fade out、ぱずるは先が楽しみだし。メガホンズはゴリラだし。本当におめでとうだね。メガホンズ絡みでは近い将来面白いことがお見せできるかも知れません。これは僕も楽しみにしてます。

 打ち上げは片町。ホールビーからHuman Head Hackのボーカルみっちーと歩いて向かった。最近もう片町来ると安心すらするようになった。絶妙の場末感。好きですね片町。ほろ酔いで片町の夜を歩くのはなかなか乙なもんですよ。もうどこか定宿を探しておかないとねそろそろ。打ち上げ後はHuman Head Hackの連中とラーメン(またか)食いました。「いちろく」っていうお店。もう腹一杯すぎて味はよく覚えてません。ただ、忘れられない夜の一つにはなったかな、と思います。

■4月20日「仁義なき前哨戦~福井編」

 翌20日は仁義前哨戦の地元編。ですがプライベートなことで朝から夜までやらなきゃいけないことがあり、CHOPのリハーサルには行けず、到着したのは19時も回ろうか、という頃でした。おかげで地元アクトのD-CRANEは観れなかったね。申し訳なかった。仙台からスリーシープ、新潟からEyeless Jack in Morbid Halloween、長野からツいてるズ、そして急遽参加の名古屋代表MARIO2BLOCK。このバンドも遅れてしまった影響で観られなかった。残念。そして金沢のふうりはこの日初顔合わせでした。長野~郡山の前哨戦には参加していなかったからね。この日のCHOPは「何か持ってる日」のような感じで、トラブルが色々起こってました。笑 スリーシープいずみちゃんの水玉ギターの弦が切れたり。全体的に荒れた感じがしてました。こういう日は嫌いじゃない。思い出には残るからね。笑 

 僕はトリでした。福井代表として地元ライブでは負けるわけにはいかない、けどこういう時は変に気負ってしまったりもするものです。でもこの日はリハーサルもしてないにも関わらず、本番前一杯引っかけていたせいもあるのか、まったく負ける気がしない。何かおかしな文章ですけどね。とにかく、なんかスイッチ入っていたのか、自分の意志とは無関係に、身体が勝手にライブしているような感覚があった。勝手に演奏の押し引きや、場の空気感までコントロールしていた気すらした。不思議な感覚でしたが、弾き語りを始めて以来、あのような感覚でライブをしたのは初めてでした。あくまで主観的な感覚ですよ。観ている人は違う感覚を抱くかも知れないし。でも終わった後でツいてるズのベースのこいけちゃんが「今まで何回か観てきた中で最高だった、自分は弾き語りの音楽をいいと思ったことは今まであまりなかったけど、感動した」というようなことを言ってくれて。CHOPダニ純さんも「神がかってた」というようなことを言ってくれて。強ち僕がステージ上で感じたことは間違ってなかったようです。この感覚はいつもそばにあって欲しいけど、そうはいかないだろうな。むしろその感覚がそばにあるからすごいライブができる性質のものでもない。場の空気感は生き物だから。でもこの日感じたあの感覚は、忘れがたいものです。未知の領域に足を踏み入れた、それだけは、確かなことだ。

 打ち上げは渋めの雰囲気でした。スリーシープのドラムのたっちゃんは6月でスリーシープを辞めるそうで、ベースのトモネーちゃんとサシで話してて、トモネーが泣くという姿も見受けられました。バンドはそういうのあるもんね。ドラマですわ。まあ松並哲也はもう一人なんで解散も脱退もしようがないですけど。相変わらずEJIMHのアキラがツいてるズのバンバちゃんに追い回されていたり、そういうのが見慣れた光景になりつつ、翌日へ続く。

■4月21日「金沢へ行く」

 翌21日は金沢へ。CHOPダニ純店長が同行してくれました。箱に入る前に二人でラメーン。金沢「秀」の味噌ラーメン。チャーシューがゴツくて、ダニ純氏いわく「抱かれたい」。もうよくわかんね。でもうまかったです。

 金沢vanvanV4がこの日の舞台。長野の前川さん、新潟の翔さんなども来てました。前哨戦とは言え、一つのクライマックスであることには違いない、という雰囲気ですね。仙台のスリーシープは前哨戦のみの参加なので、この日で仁義ラスト。EJIMHのタケシも、4月いっぱいでバンドを脱退するとのことで、僕と一緒にやるのはこの日で最後ということでした。まさにクライマックス。金沢の店長はニョロさんと言います。

 僕はこの日、前哨戦通じて初めてのトッパーでした。トッパーってのはその日一番最初に出演する人のことです。トップバッターね。トッパーって独特の緊張感あるんですよね。僕にとってはね。なので、僕は非常に緊張しました。リハーサル終わってからもそわそわしてたし。本番前ステージ脇の控室で電話を待ってるんだけど、まるで死刑執行をまつ死刑囚のような気分がして、死刑執行間際の彼らの心境はどんなだろうと考えたりもした。身体の筋肉がひきつって、吐き気が止まらなかった。足がガタガタ震える。ここしばらく、こんなに緊張したのは記憶にない。昨日は勢いでライブできたのに、今日はこのザマ。練習がどうのこうのとか、もうそんなんじゃない。場の空気は生き物だから。その空気を掴むんだ。ステージに上がるまでの気持ちの持って行き方は、このところ強く意識する。

 電話が鳴った。「お願いします」壁に頭を打ち付け、自分の頬を自分で一発強めに殴った。クラクラした。足の震えは、止まった。ステージに上がって、ギターをチューニングしている時、フロアーを見ると、その日のイベントの扉を開ける役目を果たすべき僕の演奏開始を、みんな待っていた。演奏を始める直前になって、僕は重要なことに気付いた。ステージは人を殺す場所ではない、人を生かす場だと。僕は死刑囚ではない。ライブは公開処刑ではない。自ら望んで僕はここに立っている。僕は僕を、生かすのだ。それを演奏前、観客にそのまま伝えた。後は無我夢中でした。この日のライブ、身体の中のもの、出し尽くした感覚がありました。もう見てる人がどう思ったか、それよりも、出し尽くしたい、って気持ちが強くありました。終わった後は抜け殻みたいになりました。他の対バンを、ビールを何杯も飲みながら、抜け殻のように観ていた。何だか夢の中にいるみたいにフワフワしました。

 打ち上げは、居酒屋でした。賑やかな打ち上げでした。でも僕は出番直後からずーっと飲んでいたので、すっかり出来上がっていて、打ち上げの賑やかなコールも、どこか現実感がなかった。EJIMHのタケシが頑張ってたのは覚えてる。笑 ツいてるズこいけちゃんのプライベートの衝撃的な話を聞いたのも覚えてるし。でも全体的にぐわ~んとしてますね。遠い世界の記憶のように。笑

 僕は酔いを覚ますために車に戻って寝ることにした。スリーシープや他の人たちにひとまずの別れを告げて、夜更けの金沢の街を一人車に向かって歩いた。外国の街の夜を一人歩いているみたいだった。夢の中を歩いているような。その夢を眠りの中に封じ込めるように、眠りたかった。金沢、6月にまた来ます。

 

 

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