2015.2.21.(土)

失はれた詩

　春を感じさせる、穏やかに晴れた日でしたね。僕は色々やることに追われながらも、いそいそと過ごすのはもったいないので、できるだけ余裕たっぷりの気持ちで（気持ちでね）、夜を迎えました。まだまだ雨も降るんでしょうけど、春ってこんなだっけなあ、って思い出すには充分な、そんなお昼でした。結構、灰色にどんより曇って、雨や雪が降り続ける北陸の冬に慣れてしまうと、忘れてしまうんですよね。春の陽射しの、あの感じ。で、今日みたいな日があると、思い出すという訳です。長い冬が終わりに近づいてるんだなと。とても気分がワクワクします。

　さて、唐突なんですが、この度「詩の朗読会」というものを催すことになりました。とある日の朝に「ピーン！」と思いついて、もうその日の夜には会場も押さえ、開催が決定して、詳細を決めにかかってました。音楽の企画は最近ちょこちょこやる機会がありますが、詩の朗読会の企画なんてやったことない。でも、観に行ったことはあったし、なんとなくこんな感じかな、ってのはわかっていたので、後は会場と人集めだけだったという訳です。

　正直に言って、音楽の企画は、必要性に迫られてやり始めたというのがあります。自分たちの場は、自分たちで作って盛り上げていかないと、ヤバいぞ、生き残れないぞ、という必要性、使命感みたいなものに駆られて、なんですよね。誰かがそういう場を作ってくれて、すでに活況を呈している、なら別に僕がやる必要もなかったんです。やらなきゃヤバかったんですね。

　でも詩の企画は、そういうんじゃなくて、完全に「やってみたい」という好奇心と興味のもとに思い付き、実際に「やってみる」ことになったという訳なんです。調べてみたらこういう詩の朗読会という場は福井にはないようだったし、周りの人でやってみたい！っていう人が結構いたんです。詩というのは、もっとも原始的かつ先鋭的な表現手段であると僕は思っているんですけど、僕自身、曲は自分で作って歌詞も書いたりしてますが、純粋に「詩（ポエム）」となると、とんと作ってないし（まったく作ったことがないわけではないが）、ましてや朗読なんてやったことがない。やりたい！と思って企画を実行に移したんですが、結局やらなきゃ！になってました。でも、義務感とかそんなんじゃなく、やりたい！の進化した気持ちとしてのやらなきゃ！ですね。

　それで、弾き語り仲間の中でも一番ノリノリだったのが能勢愛子さんで、能勢さんに企画段階から関わってもらい、イベントタイトルも決めてもらいました。

タイトルは『弾かず語り』！うまい！座布団！

　詩というのは、僕は誰でも持っているものだと思っているんです。実は詩について考え出したのは、今に始まったことじゃありませんでした。詩とはいったい何だろう。そして、その詩を大人になると失ってしまう人が多いのはなぜだろう…。僕が言っているのは手段としての詩のことではありません。あの、言葉にできない、フワフワした、ジリジリした、モヤモヤした…泣きたいような、笑いたいような、居ても立っても居られないような、あの感覚のことを言ってます。あれを言葉として捕えて、皆にわかるようにしたのが、「手段化された詩」なんですね。多くの大人が、大人になると詩を失ってしまいます。元々はみんな持っていたものなのに、社会に出て、常識や秩序で塗り固められ、世界に浸透していた液体のような詩が、渇いてしまう。僕にはそう見えました。

　だから、思い付きで始めたとはいえ、やはりこれも必然性があったのかも知れません。必要だったのかも。今、詩を必要としているのはむしろ大人なんじゃないかと、僕はずっと思っていました。言葉の矛盾と欠落を埋める、いや違う、浸すような、感覚としての「詩」です。

　僕たち音楽をやっている人間にとっても、音楽以外の、歌の歌詞以外の詩に触れ、声に出し、作ってみたりもするのは、とても意義のある、意味のあることだと思うんです。そして、それはきっと、誰にとってもそうだと思ってるんです。温い春の日射しのような、神々しい夕陽のような、世界を凍らせるような、人を刺し貫くような、そんな言葉を、感覚を、感じる場になればいいなと思います。今回の参加者ほとんどが朗読未経験なので、探り探りの感じもあるかとおもいますが。今回は試験的な開催となります。

　次のブログで、ルールなどを書いてみようと思います！

■３月１８日（水）＠片町フラットキッチン２階

フリーリーディング

『弾かず語り』

-朗読-

能勢愛子

松波哲也

かなっぺ

高橋隆造

イセユウ

ヤマモモ抽出物

のりちゃん

他

開場１９時３０分

朗読２０時～２２時

観覧　無料