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ブログ2017.8.8.(火)
『裸の魂vol.8』1日目後記
オルタナティブツアーのブログ更新も遅れに遅れ、6月のことを書かなきゃいけないのに今はすでに8月に入り、今までであればそのまま書かずにお流れになったところではあるけれど、いえいえ今年の松波哲也は書きます、誰にも頼まれてないけど書きます、何てったって今年はこの公式ホームページを立ち上げた記念すべき年ですから、しかしながらツアーのことは一旦さておいて、先日開催された福井のアコースティックイベント『裸の魂vol.8』の後記を先に書かねばなりませんね。
裸の魂ももう、というかまだ、というべきかはわからないけど『vol.8』まで来ました。はだたまの歴史は紆余曲折の歴史であって、一回たりとも順調なことはなかったし、毎回の出演者ブッキングから当日の進行、集客に至るまで、実は何一つ安定要素がない、そんな挑戦のイベントだと思っています。出る顔ぶれも老若男女、世代もコミュニティも超えて、というのが一つのテーマになっていて、毎回どんな組み合わせにしようか頭を悩ませています。
今回のラインナップ。見事に全員がキャラバラッバラ。司会はにしうりあっこと、ちん子(路地裏s)の2人でお贈りしました。
1番手、のりちゃん。そのキャラクターで仲間うちでは人気ののりちゃんです。今回も曲の合間に笑いと悲鳴のようなものが客席から上がってましたね。つかみ所のなさは、出会った4年前から変わらないなあ。けど、何かのりちゃんってこうだよな、っていうヌルッとした粘膜みたいなものがまとわりついてるんだよね、常に。実は天才的な音楽センスを持ってるんだけど、何か彼はずっとこのままな気がしますね。何かヌルッとしてるという。普段はオドオドしてるようで、ステージ上での彼は何か貫禄めいたものすら感じさせますね。
ブレブレの写真で失礼。CAPRISE soloこと加藤美香さん。いつもは彼女を中心としたクラシカル音楽ユニットCAPRISEで、毎回違ったメンバーとやっているが、今回はただ一人きり。モデルとしての活動もしているくらいの美貌とスタイルを持ち、そっちの方のファンも多いだろうけど、純粋に音楽やる人としてはどうなの?ってところでそんなつもりはなくてもそこら辺が問われたステージだったんじゃないかなと。ひとりきりだし、なおさらね。でもどうしてどうして自作曲のその個性ぶりに、皆さん予想の斜め上だったんじゃないかな。僕もこんな風にくるなんて思ってなかったなあ。誰とも違ったステージを、確かに彼女は全うしていた。
卍son square garden(まんじすんすくえあがーでん、以下卍)は、福井大医学部の軽音サークル内で結成されたバンド「Little Man Peace(以下LMP)」のボーカルのカイエのアコースティックユニット。この日はカホンを伴っての演奏。LMPっていわゆるシューゲイザーバンドなんですよ。マイブラッディバレンタインみたいな。シューゲイザーがそもそもわからない人は、そのマイブラあたりでyoutubeしてみて下さい。ああ、大体こんな感じってのがわかると思うんだけど、この日の卍はシューゲイザー的ムードなんて下手すりゃほぼ皆無でした。むしろ渋谷系あたりの頭が良いのか悪いのかわからない軽さみたいなものが前面に出ていて、今までのカイエくんと全然違いました。LMP自体あまり活動できてないみたいなので、このアコースティック形態卍のこれからの動向に注目ですよ。何か新しいことをしようとしている、それだけは確かです。
徐々に司会に慣れていく2人。あっこちゃんもしっかり喋ってるし、ちん子も段々大胆になってきた。←字面がね…
東京在住の、ANN MARY(アンメアリー)。福井出身です。『裸の魂vol.2』の時に、現・水咲加奈の紹介で出演して知り合いました。その後東京に出て行って、弾き語りを中心に活動。僕の旧知の人たちとも仲良くやっています。最初会った時は高校を出る直前だった。その時を知っているだけに、その成長ぶりには目を見張るものがありました。だって『裸の魂』自体始まってまだ2年半くらいしか経ってないし(福井の急激な変化を知る人たちは驚くでしょうね)、彼女も今まさに変化の渦中にあるんでしょう。東京に出て行ったからこそ作れる曲を歌ってました。さらに1年後、2年後どうなっていくのか。それはまだまったく予想がつきません。
メロディックロックバンド「×84(カケハシ)」のギターボーカル、Shuzozo(しゅうぞぞ)。弾き語り自体3回目くらいということだけど。僕は『裸の魂』だけでなく色んなイベントで出演者を集める必要がある場合、普段バンドでギターボーカルやっているような人にも声をかけます。でも大半の人には断られます。バンドが忙しいのかも知れないし、他の理由もあるでしょう。彼は、前回の裸の魂を見に来て、自分から出たいと言いました。この際だから言うけど、バンドをやっている人が弾き語り、もしくはアコースティック形態でやることに関して、ほとんどメリットしかありません。そのメリットはいくつも挙げられますが、まあ実際やった人にしかわからないでしょう。彼がここで得たものをバンドに持ち帰り、さらにバンドが飛躍することは間違いないんじゃないかな。差し当たって称えられるべきは、彼の勇気です。
水咲加奈。この日は県外から彼女のファンが駆けつけてました。そのくらい最近は県外でのライブが多いし、評価も高まっているんでしょう。彼女のライブの雰囲気やモードもその日によって色々だけど、『裸の魂』ではやや共通したムードが感じられますね。持ち時間も20分だし、出演者も多い。その中で全体の流れを汲んだ上で自分が何を見せるか、っていうのは思っているほど簡単じゃない。彼女はいつだって自分を貫き、自分の空気感を作れます。そして水咲加奈と裸の魂の交錯について、ちょっとしたイベントが発生しています。次回のブログで書く予定です!
千葉のシンガーソングライター、古木衆。福井はこの日で4回目。裸の魂は初登場です。LIVE&BAR13の系列店、最初に福井に来た時はライブハウス福井CHOPに出演。その後はBarUTaで2回。この日は福井でできたであろうファンの方も来ていたようです。まあ何というか直球な熱さを感じさせる歌うたいですね。しかも基本的なスペックが高い。歌唱力、声量もあり、ギターも上手い、詞や曲も良い。でもあれです、古木という男はそんなスペックの高さを持ちながら、人間的な綻びがあるんだよね、いや良い意味で(笑)。彼がその辺も完璧な人間だったら、結構つまんない感じにもなりかねないんじゃないかな。愛すべき男です。この日も、本人曰く「CDを売りたい下心で、力が入り過ぎた」らしい。僕から見てても非常にわかりやすかったですね。これが古木。でもCDを買った人、その選択は間違いじゃありませんよ。
能勢愛子。毎回の決まり文句になっていますが、『裸の魂』全8回、すべての回に出演しているのは彼女だけです。なぜ毎回出演をお願いしているか、っていうのは…まあ半分ノリみたいなものです。出演者のブッキングは男女比や年齢比、音楽性などかなり気を遣いますが、そういった考える部分だけじゃなくて、勘というか、ほぼノリだけで決めることもあります。街歩いてたらたまたま会ったから出演をオファーした、とか(笑)でも、一番大事にしているのはそういう勘ですね。今回の裸の魂、能勢さんが初めてエレアコを使いました。いまだ変化の渦中ですね。ここだけの話、年齢その他の要因による声の変化などに非常に苦労されているようですが。僕は能勢さんは新たな地平、新たな山の頂にまだ向かっている最中なんだと思っています。音楽は、歌はそれだから面白いんだよなあと。こうなりゃ『裸の魂』か能勢さんか、どちらが先にくたばるか、だな(笑)
神戸から登場の、のぶ。この日は福井に来る電車の中から飲んでいて、着いてからも割とずっと飲んでいて、演奏中も飲んで、終わってからも飲んでました。本当に寝てる時以外は大概飲んでいた。ちなみに翌日の2日目も途中までいて、ずっと飲んでました。大体が筆者と知り合ったのも飲みの席で、その後も飲みの席で会ったことは何度もあるが、ライブで共演したのはつい先だって5月のこと。のぶさんは、言ってしまえばそういうグルーブの人なんですよね。何のこっちゃ、って思う人もいるかも知れないけど。しかしあれだけ飲んでギターが乱れないのはさすがとしか言えない。曲も広い空間を感じさせるもので、懐かしさだったり、日射しだったり、風だったり、まあ語弊を恐れずに言えば、街の人が田舎に持つ憧れ、みたいなものを感じます。でもそれはそういう人にしか書けないものってあるのですよ。かえって心に響いたりね。現実、時としてそれはあまりにつまらないでしょう?
1日目トリを務めたのは、青木しげおさん。青木さんが20年あまり音楽活動から遠ざかって、最近カムバックした話は周りの人なら皆知っていると思いますが。カムバックしてからも「毎回のライブのたびに必ず曲を作る」というノルマを自らに課し、旺盛な意欲でやっていますが…まあ本当に素晴らしい味を持っていますよね。飄々としながらも、人生の機微、そういったツボを突いてくる歌詞です。曲もさることながら、彼本人としてはやはり歌詞を最重要視しているようです。今年は音源リリースを目標にしているらしいですが、曲が多くて、さらに曲が今もたくさんできている状態で、選曲に悩んでいる、というまあ良い方の悩みであり苦労でありを持っている、ということで…彼の好調は現段階では約束されているように思いました。楽しみです。
今回は新しい試みとして、DJを両日入れました。1日目はDJカゴ!松屋街筋や路地裏sでお馴染みの敦賀の音楽マニアですね。彼はヒッツ中心で流します。見てたら、出演者のライブを聴いて、それで曲選んでるんですよ。ちょっとすごいなあと思いました。その場の雰囲気や客のノリなんかを読んで曲選べるのもDJの資質なんだろうなあと。僕も知ってる曲たくさん流してくれて、楽しかったなあ。
1日目から特濃なラインナップでした。これだけ濃いと演る側も観る側も大変なものです。それは、わかっています。でも、『裸の魂』じゃないとできないこと、果たせない役割があると思うんですよね。その役目が終わる日まで、ああでもない、こうでもない続いていきます。
2日目後記につづく!