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ブログ2017.8.11.(金)
『裸の魂vol.8』2日目後記
さて、7月23日に開催された『裸の魂vol.8』2日目の模様(遠い昔のようだ…)。
2日目も1日目に勝るとも劣らない、個性溢れるラインナップでした。自分で言うのもなんだけど、僕がブッキングに関わると、やっぱり普通にはならないですね。普通が何なのかはさておいて、今日本で主流になっているような、例えばテレビでよく見るタイプのミュージシャンはあまり出てこないってことです。これは逆に福井にいわゆる普通っぽい人が少ないっていうのもありますし、こういったスタンダードなタイプのミュージシャンも貴重ではあるんです。色々いた方が面白いっていう純粋な思いではあるかもなあ。こういうのが売れるとか人気が出る、とか、そういう考え方も悪くはないです。けど、一言で言ってしまえばそれだけだと「つまらない」んですね。テレビや中央で流行っているものを、さらに水で薄めたようなものが地方から粗製濫造される状況を、僕は本当につまらないと思っているんですよね、正直なところ。
地方、もっともっと好きなようにやればいい。そういうわけで、こんな顔ぶれになったわけです。好きなようにやりすぎたかもしんない…。一人として同じ人なんかいない。それを、体現させたかったんですよね。地方だからどうせ、田舎だからどうせ、東京はいいなあ、都会はいいなあ、そんな風に思わないでほしい。福井にもできる、福井から全国に発信する。福井から広い視野を持って世界を見つめる。それができるようになるにはまだまだ時間がかかるかも知れないんですけど、最近の福井、みんな頑張ってますよ。夢、じゃない目標は、福井からCDを全国リリースしてツアーを回るような人がもっと出てきてほしい。福井に全国各地から凄いミュージシャンが集まってほしい。福井でも好きなことを好きなようにやって、それが正しく評価される土壌を作りたい。そんなところです。目標です。僕に夢はありません。
で、スタンダードがどうのこうのという話をした後ですが、高橋隆造です。彼は、全国的に見たらスタンダードなタイプに近いかも知れない。でも、さっきも言ったように福井ではこういうタイプってなぜか珍しいんですよね。福井って、ちょっと変な人多いんですよ。もっと彼みたいなタイプがいてもいいんじゃないかな。さて、高橋隆造。公式には1年の活動休止期間が終わり、この日が復帰ライブになりました。非公式には、活動休止期間中にも何か色々ライブしてたし、彼が店長を務めるBarUTaでは毎日のように歌っていました。でも本人的にはこういう現場に帰ってくるのは久しぶり感あっただろうし、緊張もあっただろうし、思うところもあったでしょう。僕個人的にも、やっと戻ってきたか、という感慨はやっぱりありました。そんなこんなでちょっと固くなっている部分はあったかも知れないが、僕はこの後の彼のアクションに期待したいですね。UTaの店長をやりながら、という立場で、いちミュージシャンとしてどこまでやれるか。高橋隆造に課せられたものは、そういうことだと勝手に思ってます。
2番目のShojiさん。僕の出番の直前だったので写真はありません(裸の魂で写真を撮ってくれる方、大募集してます)が、普段は敦賀を拠点に「手裏拳」というバンドでボーカルをやっています。手裏拳自体は、いわゆるミクスチャーと呼ばれるジャンル(?)に近いかなと思います。グルーヴィーで、パンク成分高めのやつですね。そんなバンドをやっている彼が弾き語りをやるとどうなるんだろうか、僕はShojiさんの弾き語りを以前にも観たことがあるので知っていますが、手裏拳を知っているけど彼の弾き語りを知らないって人には、一番気になるところなんじゃないのかな。いや、良いですよ。弾き語りもうまいですね。声も味があるし、オリジナルもやっていて、この日はShojiさん、オリジナルで勝負しに来たんじゃないかなって僕は個人的には感じたんですけど。ちゃんと歌と、言葉を聴かせる、そんな弾き語りでした。弾き語り専門の人も、うかうかしてられないんじゃないでしょうか。
この後、3番手で僕の出番でした。感想というか、自分で自分のライブレポは基本しないことにしてるんです。でも、悪くなかったでしょ?後は現場の皆さんに委ねるところですね。ありがとうございました。
4番手、岐阜から幽希。幽希くんは、僕が岐阜antsでライブした時に知り合いました。その時にCDも手に入れて聴いてるんだけど、これが良いんですよね。相当音楽に入れ込んでるんだな、ってのがすぐわかる音源で。で、彼のようなタイプは福井にはいないし、声をかけたら快諾してくれました。この日も衆目を一手に集めてましたね。足下のエフェクターを駆使して、ノイズを発振させながらギターで歌うんですけど、狂気のメルヘンですよね。彼は岐阜でもライブを企画したりして、何か従来の流れに一石を投じようとしているんですが、いやあ、その企画出たいよね。こうやって、福井と岐阜、繋がってくれればいいなあ。隣の県同士、もっと行き来を盛んにして切磋琢磨したい。客席でも、幽希くんは他の出演者のライブを食い入るように観てましたね。うん、好きなんだろうなあ、音楽。
秋田からのイグッスベイこと武田淳平。6月に僕がアベシと秋田に行った時に知り合いました。6月に初めて会って、7月にはもう福井来てますからね。何か秋田で話しててその場のノリというか勢いで決まったようなものなんですが、そういうの一番大事ですよね。インスピレーション。彼は、元々イグッスベイというバンドをやっていたんですが、メンバーが抜け弾き語り状態になってもその名を名乗り続けています。影響の受けどころは色々でしょうが、まあ「エモ」と呼ばれるジャンルや感覚が今の彼の主だった要素だろうと思う。あと、僕の友達であるアベシに多大な影響を受けていて、それが本当にわかりやすく表れているというか。笑 でも折角福井に来るんだったら、音源でも作って持ってきたら?という提案をしたら、しっかり作って持ってきました。そのデモCDの中にすごく良い曲があって、後日何回もリピートして聴いたな。彼はこれから秋田を盛り上げていきたいということなので、北陸と東北の繋がりもこれから強くなるかも知れませんね。
神奈川から来た近田心平。湘南、鎌倉や藤沢が生活の本拠地ですね。この日の出演者のライブを観て、セットリストを変えたと言っていた。それくらい、このステージにちゃんと向かい合ってくれたんだという気がします。まず彼はルックスがいいんですよ。何かスタイルも良いし、何かカッコよさげな音楽やるんじゃないかなって思うんだけど、そのイメージとは裏腹に、破天荒な笑いを感じさせる曲をやるんで、結構初めて観た人は驚くと思う。もう福井では何度もライブしていて、この日で4回目くらいだったと思うんだけど、彼が出演するからって見に来た地元のお客さんもいて。もちろん福井にはいないタイプですよね。色々いて良いんですよ。ただ、それぞれが同じステージに立って、本気で何かをやるということが大事なんだ。そうすれば、垣根を越えた何かっての、すぐできると思うんです。
福井のにしうりあっこです。後ろに掃除機が見えますが、これは彼女の持ち込み機材ですね。まあライブの度ごとに手を変え、品を変え、感心しますね。最近はギターとピアノの二刀流も板についてきました。彼女もこういう弾き語りでの活動を本格化させたのはここ2年くらいなんですが、最近は本当に活動の幅が広がりましたね。ちょっと引っ張りだこの様相を呈してきました。僕もライブを組む時は最初に思い浮かべる顔の中に彼女は必ず入っています。歌が上手くなりましたね。最初から上手かったんですが、最近は本当に上手いなと思います。ピアノの上達も素晴らしいけど、やっぱり弾き語りは歌だと思わされます。まあライブを見ればわかることなんですが、彼女ちょっと変わった人なんですよ。でも彼女のような人がちゃんと評価される機会が増えてきたってことは、そういう土壌が福井にも多少なりとも育ってきたのかなと思ったりしてます。まだまだ実力を伸ばしてほしいなと思うし、実際伸ばしていくでしょう。
ヤキマ商会。昔はグラインドコア(※)のバンドをやっていたらしいんですけど、最近はジャンゴ・ラインハルトに傾倒しています。ジャンゴ・ラインハルトを知らないっていう方は、すぐにyoutubeで探して下さい。ジプシージャズギタリストの巨人です。これを聴くと、ヤキマ商会のやっていることがどういうことなのかわかります。この日はエレキギターで登場。ルーパーを駆使して、即興でソロを演奏。これがまた長い。手癖みたいなものと言え、よくこれだけ長い時間弾き続けられるなと。弾きまくりのギターの陰に隠れて見えづらいんですが、彼は歌も良いんですよ。そういう音楽をよく聴いているんでしょうね、古いジャズシンガーのような、シルクのようななめらかな声です。ヨーロッパのテイストも感じます。基本的にはジャンゴのカバーですが、この日はオリジナルもやっていました。まるでジャンゴでしたが、このオリジナル、ヤキマ商会にしかできないものが出来上がってきたら、一体どうなるんでしょう。それを聴いてみたいのは僕だけではないはずです。※グラインドコア…ナパームデスというバンドが代表格です。youtubeお願いします。
島根は松江から、井上千秋。もう見た目からしてパワフルさがにじみ出てるけども、音楽もまさにそれに違わぬパワフルさ。まず、基本的な技術がしっかりしてるんですよね。だから安心して聴けるんです。これは大事なことですね。歳はまだ若いけど、すでにナチュラルに酒ヤケしたようなハスキーボイスがいいです。本人は意識してないだろうけど、ジャニス・ジョップリンの声質に近くてかっこいいね。ステージ度胸(またはそう見せる技術)もあります。初めての土地で堂々たるもの。島根は、アコースティックが凄く盛んです。バンドよりアコースティックの方がお客さんが多いんですね。その中で鍛えられた部分は大きいだろうし、その中で抱えているフラストレーションももちろんあると思う。シーンが大きくなると、そういう人が出てきますね。もちろん彼女は、いたずらに大衆に迎合することをよしとしないタイプのように思えます。
司会は、秋本美穂&濱野正基。秋本美穂は前回に引き続き2回目。今回はすでに余裕がかいま見えますね。福井弁全開のしゃべりも良かった。一方の濱ちゃんは、司会は初めてだし、何なら超シャイで人前で喋ることなんて苦手中の苦手。それどころか恐怖すら覚えるレベルらしいが、みぽりんの明るいキャラに誘われ、リラックスして喋っていたし、自分でも独特の(?)質問をしていたし、途中から2人とも楽しんでやっていたように見えたなあ。なぜミュージシャンたる彼らに司会を頼んだかっていうのは、やった彼らはわかってくれている…といいな。はは。見ていたお客様はどうでしょうか?司会のないライブも多いですが、いたらいたで色々ミュージシャンのあれこれが知れて、僕は面白いと思うんですけどね。
さて、『裸の魂vol.8』大トリを初めて飾るのは、市橋冬樹さん。市橋さんもピアノとギターの二刀流が最近では板に付いてきました。市橋さんは、努力の人ですね。いつもコツコツ努力をして演奏を上達させ、コツコツお金を貯めて楽器を買ったり。今50代に入ってこういう風に音楽活動ができるなんて思ってなかったし、すごく楽しいとおっしゃっていたけども、ステージの方もそういう普段のコツコツした努力が滲み出てると思う。堅実な演奏、堅実なライブ運びです。ただ好きな歌を歌い、それを聴かせる。こんな風に奇を衒わずにライブできる人が一体どれだけいるだろう。当たり前かも知れないけど、みんな何かやってやろうというある種いやらしいことも考えたりするもんだけどね。市橋さんはまっすぐです。ご本人的には不本意さも残るステージだったっぽいですけど、市橋さんが歌っている時、僕の脳内では確かにエンドロール、流れてましたよ。
この日のDJは、前日に司会を務めてくれたちん子でした。彼女はレトロな音楽が好きですね。しかもあんまりヒッツを流さない。なんか思想感じたなあ。笑 ミュージシャンもそうだけど、DJの世界もこういうの、色々あるんだよね。今回初めてDJ入れたけど、いかがでしたか?僕は楽しかったし、もっと毎回あったらいいのにな、って思いましたね。
そんなこんなで長丁場になった裸の魂vol.8も、無事(?)終了。関係者の皆さん、ありがとうございました。次回『裸の魂vol.9』開催決定しています!詳細は近日中に明らかになると思いますが、vol.9は今までにない試みのスペシャル回。20組の出演者のうち半分の10組のブッキングを水咲加奈が担当する『かなっぺセレクション』でお贈りします!かなっぺ担当分はもうすでに決定しています。裸の魂に新しい風が吹きますよ。もちろん僕の担当する10組も、楽しみにしていて下さい。
『裸の魂vol.9~かなっぺセレクション』の開催は、10/21(土)10/22(日)LIVE&BAR13です!どうぞお楽しみに!
雄島に渡る前のイグッスベイ&井上千秋。この後何かが起こる…