2019.6.13.(木)

雑記６８

★東京でポエトリー方面の方々と会う。色んな話聞けて楽しかった。

★結局ないものは作るしか選択肢がないという答えに行き着く。いつものこと。

★作ること自体はそれ程難しいことではない。これは誰にとってもそうで、「できるできない」よりも「やるやらない」の話だ。難しいのはそれを発展させることだが、まず0が1にならないことにはそれはできようもないこと。

★夏が育つ/ムッとする緑を吐いて/太陽は道行く人々の/衣服を剥ぎ取る/ヴィヴァルディの夏が/あまりにも切ないから/僕は夏をかなしく過ごす/蝉の響きも、光る水も、/子供たちの笑い声も、/つかめそうな雲も/すべてがかなしい/ああ、夏が育っていく/君も僕も育ってないねぇ/夏休みの宿題は終わったかい？

★言葉に紐づけされている「意味」ってのは引っぺがせないものか？と常々思っていたけど、無視すればいいだけのこと？心がけの問題？だとしたら意外と簡単だけど、他人がどう思うかはまったく別問題。深読みされるのが常。意味の世界から解放されるのは、簡単じゃないなあ。

★曲や映画のタイトルって人間の名前みたいなものだけど。人の名前って両親がいろんな思いを込めて、願いや祈りを込めてつけたりするものだけど、猫の名前は適当だったり。そもそも猫ってのも名前だし。Miles Davisのあの曲は、彼の口癖から取られたらしい。ジャズのタイトルって結構ノリというかそんなに意味を持たせずにつけてるんじゃないかな。一般名詞も固有名詞もどちらにせよ記号なんだよな。おもしろいな。

★大人になると、幸せになると曲ができなくなるとか、歌えなくなるとか、詩が書けなくなるとか、よく聞く。確かにそうかもしれない、本当に必要とされる、切実さのある、そういう音楽や文学は、常に抑圧や欠陥や喪失から生み出されるのであり、そういった感情や状況は、総じて若い時代には否応なしに我々を襲うものである。年齢を重ねるにつれて、あの苦しみや悲しみは何だったのかと思うくらい楽になったりもする。ただ僕たちは決して悲しみに慣れた訳ではなく、困難に出会った時に以前より少しだけ、マシな対処法を知っているに過ぎず、世界は相も変わらずイノセントな嗚咽に満ちていて、人間には逃れられない運命が待っている。それに気づいた時、若いころにはなかったブルーズが、僕らに歌を歌わせてくれるだろう。若者の歌は太刀打ちできないだろう、本物のブルーズの前には。

★先日誤ってメガドライブミニを予約してしまったばかりだが、今度はTwitterで「PCエンジンミニ」が発売されるというニュースを目にする。また誤って予約してしまいそうだ。おいおい…

★国や政治家などは、そもそも信用するものではないと思っている。我々は自衛の手段を講じるのみである。クソ面白くない。基本的に国民が主権を行使できるのは選挙の投票によってのみ。どいつもこいつも胡散臭そうだな、と思いながら投票する。

★音楽などに政治を持ち込む、ということは日本ではあまり好まれない。持ち込んではならない訳がないと思う。音楽を手段として、それにメッセージを載せて伝えるのは自由だし、ロックの世界では普通に行われてきた。そもそも民衆が何か表現をする、ということ自体、最初から反体制的、反社会的要素を含んでいる。権力者から見ると、民衆が自由に何かやるというのは目障りなのだ。しかしそういった諸々を承知で言うけど、政治は詩的ではない。音楽で直接的に政治を表現するのを拒む理由はこれだけでも充分といえば充分。それも自由。昔居酒屋で先輩ミュージシャンと飲んでいて「ミュージシャンだったら反原発は当たり前」と言われ大ゲンカになった経験あり。原発に対する僕の意見がどうあれ、「当たり前」とか「同調圧力」だとかの方が自分にとっては戦う理由になり得るのである。

★どんな信条を持っていようが、誰かが誰かを非難する権利なんてないし、思うことはあっても強要などできるはずがない。ところが正しさが暴走する社会では、そういうことが簡単に起きる。正しいことと思ってやっているはずなのに、ファシズムのようになってしまう。

★大昔の日本は政治の能力よりも和歌を詠むのが上手ければ出世できちゃうような世の中だった。世界的に見ても例がないらしく。イカれてる。すごすぎる。

★田んぼでカモが餌を探していたり、原っぱにちょうちょがヒラヒラ飛んでいたりすると、平和だなあ、って思う。何を呑気な、って言う奴に対しては、うるせえって思う。敵を探すのに躍起になって、敵を見つけて喜んで、君たちの方がよっぽどヒマだし、呑気だよ。

★「新しい景色を探すのではない。新しいものの見方を獲得するのだ」僕が好きな言葉だけど、近所に通ったことない道とか階段とか見つけると、何だか嬉しいなって思う。