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ブログ2017.6.12.(月)
オルタナツアー大阪編
名古屋の朝は、やっぱり雨だった。
傘を持っていなかったので、宿から出た途端にびしょ濡れになった。コンビニに駆け込んでビニール傘を買う。どうせこの傘も、すぐなくなってしまうのだろう。傘をなくす頻度は、子供の頃から誰にも負けたことがない。不名誉な名誉。
レコ発ツアーの2日目。大阪に向かう。雨の名古屋駅でバスを待っている。駅ビルの頂上付近が雨に煙っている。こういうのを見ると、名古屋も大都会だなと思う。東京に住んでいる時、名古屋にたまに来ると、小さい都会だなあと思ったものだけど、今は田舎の福井に住んでいるので、名古屋に来た時も都会ぶりに上を見上げ左右をキョロキョロするのである。
バスに乗って3時間半くらいで大阪に着いた。大阪に近づくにつれて晴れ間が広くなり、雨が降っていた名古屋を思い出せなくなるくらいにすっきりと青空と白い雲が目に映る。梅田は日射しが暑いくらいだった。大阪の土地勘がない。地下鉄の入り口を探すのに苦労した。
心斎橋に着いて時間があったので、カラオケ店に入った。ギターなど大荷物を持っていると、落ち着ける場所は少ない。流浪の民にも、カラオケ店はやさしく門戸を開いてくれるのである。前日の夜に名古屋の深夜の路上でギターの弦交換をしている時に、ナットと呼ばれるパーツが外れてしまった。これは度々外れるのだが、いつもいい加減な自己流の修理のせいで、接着が弱くなっているらしいのだ。近くのコンビニで瞬間接着剤を買って、べったりと貼り付ける。
そうこうしているうちにいい時間になったので、この日の会場、酔夏男に向かった。とは言ってもカラオケ店から3つくらいとなりのビルである。酔夏男は、「よかにせ」と読む。こんな漢字の言葉が存在していて、こんな読み方で、そしてどういう意味があるのか定かではないが、とにかく一度覚えたら忘れない店の名前だ。もともとは飲食店だったようだが、ライブスペースとして、各地から素晴らしい演者が集まる場所となっている。
この日は京都で毎年開かれる「いつまでも世界は」というサーキットイベントの大阪前夜祭的な催しらしく、僕はこのイベントにひとりだけまったく関係ないので、「番外編アクト」として表記されている。僕以外は全員そのイベントに参加するらしかった。
僕はトップバッターでそうそうに出番を終えた。このところライブにおける体力の消耗ぶりがものすごくて、この日も非常に疲れたが、何とか振り絞って演奏を終えた。現時点でできるすべてだった気がする。この体力の消耗ぶりに関しては、何となく原因がわかっていて、このブログを書いている時点では改善の方向に向かっている。だが、この日(実は前日の名古屋も、そして翌日以降も)は自分の身体じゃないみたいに疲れた。が、状況がどうあれベストを尽くす以外の道は一つもない。
2番手、大阪のマサ・タケダさん。ギター1本でブギ&スイング、会場を盛り上げる。
酔夏男は食べ物が美味しい、お店の名物はかすうどんだ。ものすごく美味しい。
北海道の、田高健太郎さん。「弾き殴り」と称し、終始ハイテンションなステージ。
東京から、にたないけんさん。「にたない(似内)」が名字だということだ。珍しい名前だ。ユルさの中にも多彩なルーツと文学性がかいま見える。東京で活動中の佐伯憲陽と旧知の仲だと言う。
この日異彩を放っていたのは、兵庫の影野若葉さん。紅一点というのもあり、フラメンコギターで名前の通り影のある、陰のある弾き語りを聴かせてくれた。
この2日後に京都で開催される「いつまでも世界は」の主催者、西島衛さん。サウスポーでギターを弾くと、見た目からして違う雰囲気がある。サウンドチェックでオーティス・レディングの「Sitting on the dock of the bay」を歌ってくれた。もちろんその後のライブも、良いムードだ。
この日は出演している皆が皆、自分の音楽、自分の空気感を持っていて、すごく濃厚な夜だった。お陰で少し飲み過ぎたが、閉店まで楽しんで、その場を辞した。
大阪の夜は好きだ。東京とも名古屋とも違う、一番「人」を感じるのは大阪かも知れないな。酔いのせいか街の灯がいつもよりも眩しく映る。