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ブログ2017.7.12.(水)
オルタナツアー秋田編
目覚めると、僕とアベシは僕の車の中だった。新潟でのライブ後、結局朝まで飲んでしまい(僕にとっては予想通り、アベシにとっては誤算であった)、車中泊をしたのだった。ぼやける頭を振って、この日の目的地、秋田県に向けて車を発進させた。
僕は東北でのライブは、福島と仙台しかやったことがなかった。福島には知り合いがいるし、仙台も大きな街であるからして情報に困るようなことはない。が、東北地方でも日本海側になると、途端に情報が薄くなる。おまけに交通網自体もまだまだ整備されていなくて、新潟から秋田まで直で行けるような高速道路はまだ繋がっていないとのことだった。差し当たり新潟から高速に乗って行けるところまで行こうと車を走らせる。新潟市を抜け、胎内市、村上市と進むにつれ、のどかを通り越し辺境の様相を濃くしていく車窓であった。
村上市の途中で高速道路は切れ、山道を走る。山形県に入る頃には、濃い緑の草いきれが視覚を通じてだけでも伝わってくるような、山里の風景である。写真は国道7号線の海沿いにある道の駅でのもの。これは、実は帰りに同じ場所で撮影されたもので、行きの道中はとにかく酷い雨であった。雨男の面目躍如…本領発揮といったところだ。
道の駅を過ぎて鶴岡市の途中で、また高速道路が現れた。切れているのである。まだ新潟まで繋がっていないのである。新潟と山形は隣り合っているが、話を聞いているとあまり交流というかミュージシャン同士の行き来がなく、情報が薄いとのことだが、原因はこういうところにもある。でも逆にこういうところが東北の日本海側の土地を神秘的なイメージにしている部分もあるんだな。福井も全国に名だたるマイナー県として、他の県の人からはそういうよくわからないイメージで見られているかも知れない。まあ、福井がどこら辺にあるのか知っているだけでもまだいい方である。平気で言うもんね「金沢があるとこですよね!?」「それ石川」「原発事故大変でしたね」「それ福島」「ラーメンももつ鍋も美味しいですよね!」「それ福岡」…終始こんな具合なのである。
でも、福井も山形も秋田も日本海側の県共通の雰囲気があるのか、何か他の土地を走っている気がしない。ただ、その土地にしかないラーメンチェーンだったり、ドラッグストアだったり、そういうものに僕は異国情緒めいたものを感じていた。
今回の日本海ツアーは、アベシのコーディネートである。アベシも弾き語りを始めて、一人でツアーを回ったりしているが、彼は秋田にシンパシーを感じたようで、何度も通っているのだ。アベシの出身は青森だが、共通した雰囲気を感じているのかも知れない。
そうこうしているうちに、この日の会場である秋田LIVESPOT2000に到着。通称ライスポ。まず驚いたのが、床と椅子。学校やん。
何とも懐かしい雰囲気がする。
キャパは…スタンディングで150くらいだろうか?200詰めたらだいぶ厳しそうだが。
何もかもが手作りの雰囲気、
つまりは地元の人のライブハウスへの愛情を感じるのだった。
みんなで作り上げている。そんな感じだ。
地元バンドもカッコよい。やはりね、地元は地元が仕切らなきゃダメよ。良いバンドを育てて、良いライブをみんなで作って…でもそんなこと知らんよ、という開き直った楽しいライブだったね、「左手はそえるだけ」
地方にもいい人材はいるよ。当然のことながら。彼らが秋田のこれからを作り、地元を盛り上げ、外に発信していくんだろうな。僕自身のライブは、やはりひどく疲れたが、だんだんマシになってきたようだ。この日も雨で少し涼しかったのが良かったのかも知れない。もう、とにかく全力。それだけは疑いがない。CDを買ってくれた方、ありがとう。
秋田の打ち上げ飯の美味いこと。オーナーさんが自ら作ってくれた絶品の料理の数々だ。アベシは秋田ではもうヒーローのような存在で、皆に慕われている。ライブとは関係なしに飲みに行ったりしているらしい。そんなアベシも秋田の皆と再会できて嬉しかったのか、酒量が増えているようである。ライブもヒーローのような堂々としたライブだったな。
〆に出てきた、「だご汁」だ。米を団子状にして、汁物に入れてある。きりたんぽがないから代わりに…ということらしいが、これが震えるほどの絶品であった。冬なら毎日食べたい、それほど美味かった。もちろん初夏の時期に食べても最高だった。
この後も談笑は続いたが、4時くらいでお開き。アベシは秋田の共演者の家へ、僕は自分の車へ。翌日は最終日。山形は酒田だ。