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2014.6.18.(水)

ファンキー


久保田利伸 『BONGA WANGA』

 音楽の入りは、ロックではなかった。ゲームの音楽やアニメの音楽以外で初めていいなと思ったのが、小学校5年の時に聴いた安全地帯と井上陽水。テープで、ず~っと聴いていた。初めて自分でお金を出してCDを買ったのが、中学2年の時だった。上のアルバムとは違うが、久保田利伸のCDだった。なぜ最初に買うCDに、久保田のものを選んだのか。ある日、自分でお金を出してCDを買おうと思い立ったが、何を買っていいのかわからない。学校の同級生たちは、とっくにCDデビュー(自分で買うことね)していて、B’zやらなんやらを聴いていた。僕は、誰も聴いていないようなのがよかった。

 ある日、テレビを観ていたら、NHKだったと思うが、久保田利伸の特集をやっていた。日本人なのに、本格的なブラック・ミュージックをやろうとしている人がいる、みたいな番組だった。そこで初めて久保田利伸の存在を知った。これだ!と思った。そこで、わずかばかりの小遣いを文字通り握りしめて、三国駅の駅ビルにあった町の小さなレコードショップ「ZEZE」に行った。久保田利伸のCDがあった。何枚か出ていたので、何を選んだらいいかわからなかったが、ジャケットの印象で何となく買った。それが僕が初めて自分で買ったCD、久保田利伸の『NEPTUNE』だった。

 とにかく、カッコよかった。何というか、テレビで流れている日本のヒットソングとは何かが違っていた。ある日、久保田がテレビに出ていて、喋っていたが、彼は「ファンク」「ファンキー」という未知のワードを連発していて、何だそれは!?と思った。とにかく、僕が彼のアルバムを聴いて感じていたうねりと言うか、あの首や腰が勝手に動く感じは、「ファンキー」で、彼のやっている音楽の種類が「ファンク」なんだとその時了解した。

 彼のアルバムを他にも聴いてみたくて、よくわからないながらも買い進めていった。その中で、コレはヤバいと思ったのがこのアルバム、『BONGA WANGA』だった。何がヤバいと思ったのか、その時は詳しくわからなかったが、とにかく本格的に外国的というか(笑)、CDの内ジャケにニューヨークの写真や現地ミュージシャンとのスナップ写真などが載っていたのだが、とにかく、「ニューヨークって、カッコいいなあ!」と思った。笑 いや、笑わないでいただきたい。これが憧れなんだ。その時はよく知らないが、後に参加ミュージシャンのクレジットを見てみると結構ヤバい。ブーツィー・コリンズにメイシオ・パーカー、ジョージ・クリントンの名前も。JBやP-FUNK界隈の要人が参加しているのみならず、リヴィング・カラーのヴァーノン・リードなんかも参加している。そりゃ本格的な空気感が出るわけだ。

 とにかく日本人離れした雰囲気がアルバムに充満していた。当時は、それがカッコいいんだと思ってた。「久保田は、他の日本人とは違うんだ!本場のブラック・ミュージックをやっていて、カッコいいんだ!」そう思った。まだ、ギターを始めてもいなかった。学校で弾き始めた人もちらほらいたけど、あんまり興味もなかった。ジュンスカイウォーカーズとか、どうでもよかったもん。笑 とにかく、ファンクだ。ファンキーだ。ロックだパンクだブルースだ、以前に、僕の中にはブラックミュージック、ファンクやソウルといった音楽的素養が出来上がっていた。でも、久保田が尊敬するアイズレーブラザーズやマーヴィン・ゲイ、ジョージ・クリントンなどはよくわからなかったし、知ろうとも思わなかった。だって、外人じゃん。笑 何かおかしな論理だが、久保田がよかった。

 そういうブラック・ミュージックに影響を受けた他の日本人歌手のCDも聴いた。例えば中西圭三だとか、横山揮一だとか、米倉利紀だとか…でも、久保田利伸が先駆者だと思っていたし、一番ファンキーでカッコいいのが久保田だと思っていた。外国人と話した時も、FUNK、FUNKYという言葉が通じた。僕はそういう音楽が好きなんだ、と得意気に話した。

 その後、とあるキッカケで久保田から離れていくことになったが、当時よく聴いていたアルバムを聴くと、今でもその時の気持ちがよみがえってくる。久保田利伸は、僕に新しい世界を教えてくれた。

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