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2014.7.13.(日)

嵐の夜に(フクオカにて)

 嵐が迫っていた。海の上をゆっくり進み、たっぷりと海水を吸い上げたそれは、史上最強の勢力を持って陸に近づいていると、盛んにテレビで報道された。『仁義なき戦い~福岡編』のために、僕は7月10日に飛行機で福岡入りする予定だった。しかし航空券の支払いを済ませる前に、台風がやってくるという情報を聞いて調べてみると、何とライブ当日に過去最強クラスの台風8号が九州に上陸、福岡周辺が暴風域に入るということであった。僕はとりあえず飛行機のお金を支払うのを待った。

 現地福岡ではそれを受けて、開催するかどうか検討中だった。災害に巻き込まれる危険性もあるため、イベント自体が中止になるかも知れないとのことで、固唾を飲んで状況を見守った。前日9日の段階で、一応は開催の方向で話が進んでいるのを知り、僕は前日のうちに新幹線で福岡に向かうことにした。飛行機よりは台風の影響を受けにくいと思ったからだ。

 夜11時を過ぎて、福岡に到着した。台風が近づいているというのに雨も降っておらず、風は拍子抜けするほど弱かった。大学の後輩が福岡に住んでおり、僕は彼の家に一泊させてもらえることになっていた。新幹線を降りて駅のロータリーに出ると、何か信じられない気分になった。弾き語りでソロを始めて1年と少し、こんなに早く福岡にまでツアーに来れるとは思っていなかったから。福岡は20年ほど前に家族旅行で来たきりで、風景もよく覚えていなかったが、博多駅前の風景、ビルのネオンは新鮮な輝きを持って僕の目に映った。後輩がロータリーの一角から手を振った。車に乗り込み、僕は福岡の夜をクルージングしながら彼の家に向かった。知っているような、まったく知らない夜の街の風景が、カーステレオから流れるレゲエとともに過ぎていく。

 この後輩自身、今は表立って活動をしていないがバンドマンであり、とても音楽を知っていて、信頼できる感性を持った人物だ。彼の家に着くなりキッチンのテーブルで飲み始め、気付いたら4時前。さすがに九州、焼酎まで入って前後不覚に。音楽話に大輪の花が咲く。ブルーズがターンテーブルを回る。楽し。

 朝方目が覚めると、外は穏やかであった。ニュースの天気予報を見ると、台風は福岡をそれて南寄りの進路に進んでいったらしい。偶然には違いないが、偶然でない気もしてくるほどでき過ぎた話だ。それた先の地方では水が溢れ、風で物はなぎ倒された。死人も出たという話だった。そんなことがあるのかと他人事のように思えるほど、外は穏やかで、時折吹くやや強い突風だけが、嵐の名残りを伝えていた。

 昼過ぎくらいに会場の福岡Queblickに到着。すでに開いていたので、荷物を置かせてもらって、近所の立体駐車場に車を停めていた出雲の門脇大樹くんのところに行った。彼は今回はひとりで島根から車で来ていた。彼の車で入り時間まで待たせてもらった。今回の仁義なき戦いで弾き語りソロは僕と門脇くんだけだ。しかし2人ソロがいるというだけで珍しいことらしく、彼には学ぶところがあるし、刺激も貰える存在だ。

 入り時間に入る。残念なことに、渋谷のbuzz.と厚木のtwo step gloryが台風の影響でキャンセルになったということだった。そして尾道のALiVEと大阪のM.Y.Bも到着が遅れていて、まだ向かっているということだった。オープン前の顔合わせでは地元福岡のPORFIDIOとArt In Stormそして僕らソロ2人だけしかいないという、あまり例がない寂しい状態だった。

 それでもオープン後からだんだんお客さんが集まってきた。門脇くん、そしてALiVEも出番直前に到着し事なきを得て、僕も出番を済ませた。福岡での初めてのライブ、感慨深かった。そしてM.Y.Bがまだ到着していなかったので、トリを務める予定だった地元PORFIDIOが先に演奏した。さすが地元バンド、気合が入っている。そしてトリはようやく到着を果たしたM.Y.Bが務めた。終わりのころにはホールが客であふれており、福岡の熱を感じたものだ。福岡Queblickはまだできて間もない箱とのことだが、福岡、ひいては九州の台風の目となるべく勢力を拡大中だ。

 ライブ後は打ち上げ。僕はライブハウスにいる時からだいぶ酒が入っていて(ここ最近こんなんばっかだけど)、打ち上げが始まるころにはすっかり出来上がってしまっていた。楽しく打ち上げを終えた後、僕は門脇くんと彼の車が停めてある立体駐車場に向かった。打ち上げ後、夜のうちに翌日の小倉に向けて出発し、小倉の安ホテルに相部屋で泊まろうではないか、ということになっていたのだ。

 ところが駐車場に着いてみて、僕らは驚愕した。シャッターが閉まっている。看板を見ると、24時でクローズとある。やってしまった。ところが、予約していた小倉のホテルに連絡すると、キャンセル料なしでキャンセルしてくれると言う。それに加えて、福岡市内で手ごろなホテルが見つかったので、我々は悠々と向かったのであった。不幸中の幸い。トラブルさえも味方につけて。台風がそれたこと自体が、まさにそんな感じだ。門脇くんのいびきには悩まされたが、それすらもこんな1日のBGM。

 翌日の小倉編に続く。

 

オープン前の博多ラーメン。

門脇くんの物販の敷物に皆でサイン。

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