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2014.10.7.(火)

初めての夕暮れ、縄文の月

 何度も何度も観たはずの光景だが、同じ日は一度もない。繰り返しの毎日など、本当は存在しないはずなんだ。終わりの来ないループを延々と回り続けてるなんてことはなくて、僕らは常に一本道を始まりから終わりまで引き返すことなく歩き続けているんだろう。

 僕が何度あの夕陽を見ても心が動かされるのは、きっとそういうことなんだ。

 だってこんな画は初めて見るもの。新しい景色、新しい風景を探すのも素晴らしいことだと思うけど、毎日見る風景やいつも通る道だって、新しいもの、今まで気付かなかったものは実はたくさんあって、僕たちに見つけられるのを待ってるんじゃないかと、そういう風にも思える。

 別世界への扉は、いつも僕たちのそばにある。僕は一夜にして街の風景が一変した体験を、何度もしたことがある。世界は歪み、元に戻った時には、もう二度と、同じ風景は見られなくなってしまった。万物は、そして僕もまた、流転の果てにたどり着く場所がおそらくある。それはあらゆるものが行く場所。遅かれ早かれ我々は、皆そこに行かなければならない。

 昔は越えられない、破ることができない牢獄のように感じていた遠くの山々も、あの水平線も、僕は越えた。そしてここに戻ってきた。あの時と同じ場所だが、もうすでにここは同じ場所ではなく、僕も同じ僕ではない。それでいて何ひとつ変わっていない僕もまた、ここに立っている。

 再びここから始まる。また、ここから始める。



 二度と返らない、夕暮れ時だ。

 今夜の月は、縄文人も見た月だ。

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