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2015.8.4.(火)

裸の魂vol.4 2日目後記

 さて、では後半戦2日目の後記。とうとうファイナル2日目ということで終わりに近づいてきた。

 高橋隆造。昨年の今頃から活動を始めて、この1年での目覚ましい成長ぶりは周知の通り。3月にミニアルバムを発売して以来、次なる作品への意欲も高いようだ。ちょっとヤジには弱いものの(笑)、演奏はきっちりこなす技術とメンタルは彼の1年間の努力を物語る。作詞作曲のセンスも高く、これからも名曲を生み出しつつ、同世代の弾き語りのリーダー的存在になっていくであろう。

 そんな高橋隆造と同世代の濱野正基。同世代であるが、まったく影響の出所が異なっていて、隆造が今様のシンガーソングライターに影響を受けているなら、濱ちゃんはボブ・ディランやサイモン&ガーファンクル、井上陽水など、往年の、伝説的ソングライターに影響を受けている。敦賀嶺南ではすでにアイドル的人気を博しているようだが、嶺北ではこれから名を浸透させていくだろう。オリジナル曲はすでに20数曲持っているようで、音源発表などが楽しみ。

 Nater(ナター)。僕的には彼の出演も、今回の目玉の1つと言ってよい。それ程この『裸の魂』のラインナップの中にあっては異彩を放つ存在と言える。元々はクラブシンガーとしてのキャリアを10年くらい持っているそうで、レゲエやHIPHOPに影響されたスタイルは、ギター弾き語りを聴いても一目瞭然、包み隠さず、ポジティブなメッセージをリズムとメロディに乗せて聴かせる。彼は「言霊をとばす」という表現を使っているが、それほど言葉をいかに伝えるか、ということに強い信念を持っている。

 続いてはちょっと写真は使えないのだけれど、石川から参戦の「ひなた」。キーボードで様々な音色を駆使しつつ、ラップトップと生演奏を同期させたり、アコーディオンを弾き語るなど、完全に単なる弾き語りの領域を超えていた。ひとりでもここまで聴かせることができる、という見本を見せてくれたし、何より彼女の曲のセンスが、洗練されていてなおかつ泣きを誘うようなメロディーをもともなって、観客はうっとりと引き込まれていたように思う。終演後はCDもかなり売れていて、この先福井でも彼女のライブを待ちわびるファンが増えることが期待される。

 ヤマモモ抽出物。vol.1以来、『裸の魂』は2度目の出演。vol.1では大トリを務め、その渾身のパフォーマンスが観客の心を打った。彼の場合、シンセサイザーなどを駆使したエレクトリックな活動も知られているが、魔法使いのようなサウンドを繰り出すそれらの活動とは裏腹に、弾き語りにおいては誰よりも泥臭く情けない姿を文字通り「曝して」いることが、何よりも美しいのである。活動が多岐に渡るため、あまり注目されない点かも知れないが、福井の弾き語りの中にあっても屈指の「鋭さ」を持っている。

 松屋町筋(まっちゃまちすじ)。敦賀のお笑い音楽ユニット。vol.1から司会その他で関わっている2人。毎回ライブの度毎に新しいネタを仕込んでくるのは、彼ら一流のエンタメ魂のなせる業。しかしその面白さに隠れがちな事実として、彼らは本当に音楽をよく知っているし、聴かせどころもわかっている。場の空気を楽しげなものに変えられるのは、何よりの才能と言えるかもしれない。客席でもヤジを飛ばすなど、必要以上に沸せてくれるのも、『裸の魂』にはなくてはならない要素となった。

 

 サチ。松波の地元三国のお友達ということで事前に説明してあったが、実際に僕がよく行くカフェ『saji space』の店主である。同カフェでは弾き語りやその他音楽イベント、ワークショップなどが度々開催されているが、彼女ご本人も弾き語りをするというので、前々から誘っていた。が、非常にシャイな性格で(笑)、何度も誘いやっと『ファイナル』に出演してもらえることになった。この日はボ・ガンボスのカバーなどを披露。ほぼ一言も言葉を発することなくステージを終えたが、心のこもった歌に感じる人は、確かにいたのではないだろうか。

 撮影:水上康裕氏

 このイベント『裸の魂』はブッカーである僕の意図を超えて、イベントそのものを愛してくれた人が沢山いたように思う。僕がやりたかったのは、散り散りになっている各コミュニティーの人々を、一ところに集結させる、ということ、極端に言ってしまえばその一点に尽きる。その出会いと刺激により、弾き語りの新たな局面がひとりでにやってくると思い、実際その通りになりつつある。僕は「主催者」などとは自分では思っていなかったし、そう思われたくもなかった。『裸の魂』がその点「みんなのイベント」になってくれたことは何より嬉しいし、僕もただその一員であろうとした。主催者としてではなく、一員として、いちミュージシャンとして、最後もステージに立ちました。ありがとうございました。

 今回のMVPは藤本まき。この出演枠が当日になってキャンセルで空白になってしまい、僕はダメ元で彼女に出演を依頼したのが、この数時間前。彼女は2つ返事で出演を快諾して、やってきてくれた。彼女のミュージシャンとしての使命感と決意がそうさせたのだ。というのも、彼女は今月で福井から新潟に移住し、ライブハウスの専属歌手としてプロのキャリアをスタートさせる予定なのだ。が、福井での活動も並行して続けていきたいと言う。音楽に向かう姿勢が、ステージに表れていた。準備期間がゼロだったので、本人は出来に不本意な部分もあったようだが、それを差し置いても素晴らしい行動力。そして素晴らしい歌を聴かせてくれた。

 最後はDee Dee’s。福井ノーサイドのオーナーであるボーカルのToshiさんを中心に、ベース、リードギターという特別アコースティック編成で出演。アコースティックだから大人しくなるわけでは当然なく、よりクリアに切実に響く詩をともなって、終わらない夜のロックンロールを観客に存分に聴かせてくれた。Toshiさんのしゃがれた声を聴いていていつも思うのが、「声デカいなー!」ってこと。涼しい顔をして歌っているが、やはりロックンロールはデカい声で響かせる、のが基本中の基本なんだと教えられた。観客も彼らの熱い歌に揺れていた。

 以上を持って、半年間続いた『裸の魂』は無事フィナーレを迎えることになった。ひとえに、出演してくれた皆さんの、毎回足を運んでくれた観客の皆さんの、撮影その他で力を貸して下さった人もいましたし、何よりマロンパラダイスの理解なくしては、このイベントは絶対に成功しなかった。『裸の魂』の名はマロンパラダイスでしか使えないと思ってます。マロンパラダイスは7月いっぱいで体制が変わって以前とは違った店になります。ライブハウス自体は続くので、またお世話になる機会もあるかも知れません。『裸の魂』も、いつか復活する「かも」知れませんが、この名前で開催されるとしたらマロンパラダイスでしかあり得ません。まあ、それは復活があり得れば、の話ですが…それは、またのお楽しみですね。

 最後になりましたが、本当にありがとうございました。これしか言えない。ここからまた新しい何かがスタートしますよ。もう僕はスタートしてます。少し先で、お待ちしてます。

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