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2015.8.5.(水)

狂騒のUTa~夜明けの歌~

 さて、時間軸を遡り、これは1週間ほど前の話になる。場所は片町のBarUTaだ。

 僕が初めて『UTaMOKU!』に出演したのは、2013年の11月末の回だった。当時は福井CHOPのアコースティックライブに細々と出演するのみで、他の場所ではろくにライブする機会を得ることができなかった。何しろまだまだ知り合いが少ない。誰も僕のことを知らないし、アコースティックの弾き語り、というもの全体が、活況というには程遠い状況にあった。バンド物のライブに比べても、お客さんも少なく盛り上がっているなどお世辞にも言えない。

 わかっていはいたことだから、焦りはなかった。活動を始めてそれほど時間が経つわけでもなく、僕のことを知る人は少なかった。盛り上がってないのも、キッカケがないだけだと思った。焦りはなかったものの、このままでいいだなんてことも思えなかった。何とかなるものなら、何とかしたいと思っていた。

 僕はCHOPだけでなく、他の場所でもやってみようと思った。丁度CHOPで知り合った人が片町に音楽バーがあると教えてくれた。場所はよくわからなかったが、UTaという名前だけ覚えていたので、何となく調べて行ってみることにした。

 誰も知り合いがいなかったけど、最初は仕方ないと思って思い切ってドアを開けて入っていった。店内を見ると、マスターの他には女性客が一人いるのみ。いらっしゃいませ、と僕ににこやかに笑いかけて、おしぼりを渡し、席に座るように促す。

 座って注文する間もなく早々に、僕は「ここで演奏させてもらえると聞いてきたのですが」と切り出した。するとマスターは「ああ、月に一回ライブイベントをやってますよ。折角来たのですから、オーディションじゃないですけども、ちょっと歌ってみますか?」とマイクを指さした。僕は緊張しながらも、1曲2曲歌わせてもらったのを覚えている。緊張していたから、当然うまくなんて歌えなかったし、大丈夫だっただろうか、と不安だったが、マスターは「では今月末のUTaMOKUはお願いします」と言ってくれた。

 それが僕のUTa事始めである。それからは、開店2周年に続いて、3周年パーティーにもお声をかけてもらえるようになった。

 なぜこんなことを思い出したかというと、下の彼のライブを観たからだ。初めての弾き語りライブである。


 緊張しただろうし、不本意な部分も多々あっただろうが、0を1にする彼の歴史的瞬間に立ち会うことができたし、彼も何とかやり切った。1を100にすることよりも重要なこと、0を1にすること。正確に言えばどちらがより大事ということは言えないのだけど、始めなければ何事も進展などありえない。すべてはここから始まるのだ。僕も0を1にした瞬間を覚えているし、忘れたくはない。経験を積んだ者は、もっと初心者のライブを観た方がいい。原点を忘れてはならない。大体、初心者ほど切羽詰まったライブをする者なんていない。初ライブとなればさらに、何かが弾けて爆発する様を観ることができるだろう。

 この日のウタモクは、僕を含めた5組の他、初めて飛び込みで店に入ってきた、という若い女の子プレーヤー、福井ナンバーワンギタリスト(と僕は思っている)齋藤氏、それに福井のアコースティックアイドルのチャカさんなどが次々に演奏し、大変な盛り上がりを見せた。ここ最近のUTaの客入りと盛り上がりはすごくて、大体はカウンターの中にまで人が沢山立っていて、店の外でも飲みながら聴いている人がいたりして、本当にあやかりたいくらいの熱気に包まれている。UTaMOKUのためにホテルまでとって楽しみに来るお客さんまで出始め、とどまることを知らないようだ。これもマスターの人徳のなせる業であろう。

 ここまでテンションが高まるとついつい僕もお酒を飲んでしまい(平日なのにね)、車中泊をせざるを得ない羽目になるのだ。しかし、車に戻って席を倒す時にはいつも、ジワジワとした満足感が身体中を包み込むような気分になる。

 目覚めると大抵は少し空が白み始めたころだ。帰り道は田園風景に霧がかかっていたりして、普段の生活では見ることのできない風景にも出会える。何かが始まる夜明けだと、何度も思ってきた。夜明けが来たからと言って劇的に何かが変わる訳では当然ない。だけど、確かにあの時とは違う夜明けなのだ。僕は前の夜明けから次の夜明けまで確かに歩いてきたし、また次に新しい夜明けを見られることを期待している。

 だけど、いつかの夜明けの空を見ながら口ずさんだ歌を、また次の夜明けの時に無意識に歌っていたりすることに気付いたりもする。何か変わったか?そう、色々変わった。あの時の僕じゃない。だけど、何ひとつ変わってない僕も、またここにいるのだなあ。

 次の夜明けに、つづく。

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