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2016.4.3.(日)

夏が始まる

 3月27日。僕は高浜町にいた。車で10分ばかり行けば京都との県境に達しようかという町だ。

 三国から車を走らせること3時間半。下道でもこのくらいで着くことができたのは、運が良かったのだろうか。三国から富山までの距離でも130キロなのに対し、三国から高浜は150キロある。同じ福井県内と言っても、三国は北端の県境近くなので、ほぼ端から端まで移動したことになる。そう、同じ福井と言っても、ほとんど交流が生まれない2つの土地であり、文化も異なっているのだ。

 きっかけはTwitterだった。とあるライブの出演者募集を見て、ピーンときたのだった。高浜でライブをやらせてもらえるキッカケなど、普段の生活の中では掴むことがなかなかできないものだ。こちらからコンタクトをとってライブできるなら、一瞬でつながりができるのだ。それで応募して、快く参加させてもらえることになったというわけである。

 初めての高浜、あまり慌ただしく帰りたくないので、宿をとった。宿の目の前はすぐ海。ビックリするくらい青くてきれいな海だ。若狭特有の入り組んだ海岸線が、美しすぎる。海岸からほど近いところに小島が散在するのも、日本人の原風景的な画。あの一つ一つに神聖なものを感じる。実際に嶺南若狭の海にはそういう古い伝承が多いと聞く。そんなお話を思い出しながら、僕はまるで終わらない夏休みのような風景の中にすっかり我を忘れて魅入られていた。

 ウミネコもくつろげる気候になってきた。これから若狭も夏に向けて、どんどん海の青さを増していくだろう。悔しいかな、海の美しさは嶺北のそれを凌ぐと思える。本当にいつまでも見ていたいと思わせられる、そんな海の蒼だ。

 この日のステージは『パンショップ むぎわら帽子』の2階だ。このパンショップのオーナーN氏も昔から音楽活動に携わっており、自分が経営するパンショップの2階に機材一式を揃えライブができるスペースに改装してしまったわけである。この日僕が出させてもらうのはそんなN氏主催のライブイベント『Mugiwa Live』。地元のプレイヤーたちに発表の場&憩いの場を提供している。

 到着してN里氏に挨拶するとリハーサルをさせてもらった。

 スピーカー、アンプを始めドラムセットまで完備。どちらかと言うとアコースティック向きな音響&設備だと思うが、この日はロックバンドも。

 2階ライブスペースの大きな窓からはこんな景色が。毎日こんな景色が見られるなんて、それだけで幸せだなあ。

 リハーサル後はすぐ前の海から見える青葉山を写真に撮ってみた。若狭富士と言われるくらい美しい形だ。高浜に入った時から行く手に見えていて、何ときれいな山だろうと思っていた。

 さてライブが始まった。大変な賑わいである。ヒムロックや吉川のコピバン。

 僕は2番目の出演。自然と起こる手拍子。This is 嶺南。もうノリが関西だ。本当に熱心に聴いてもらって、嬉しかった。

 笛の音がキレイ。

 

 パンショップむぎわら帽子のオーナーでライブの主催者N氏。こんな田舎に機材を揃えライブスペースを作るだけでも尊敬に値する。もっともっとこのスペースを生かして面白いことができそうだし、僕も何かしら力になりたい。ある人の話によるとかつては京都北部と北陸をつなぐ繋がりがあったそうだが、失われて久しいそうである。僕が作りたいのはこのルートだ。実際の道路とかの話ではなく、人と人の繋がりのことである。どんな場所でも音楽が好きな人はいるし、それを享受することに隔たりがあるのは悲しいと僕は思う。それが証拠に、このライブ会場にいあわせた人々は、この上なく音楽を楽しんでいる。僕も初めて対面する人たちとは思えないほどの歓迎をしてもらった。もちろんそれは嶺南の土地柄というのもあるだろうが、楽しもうとする姿勢では嶺北の一歩も二歩も先を行っている。

 ライブが終了した後もセッションタイムが続く。僕は宿に戻ることにした。N里氏に挨拶をする。また彼とはゆっくり差し向かいで話をしてみたいところだ。色々有意義な話ができるんじゃないかな。

 宿に戻ると、海は暗くなっていて見えなかったが、それでも潮風が美しかった。ほのかに夏を感じたのは気がはやったわけではなく、確かにそれに季節が近づいているからだろう。僕は、この美しい場所で色んな音楽が鳴っているといいなと思った。またそれは間違いなく実現可能なことだと思う。ないものは実現させればよい。ない道は作ればよい。

 また戻ってきたい場所ができた。

 僕の中では、夏が始まった日だった。

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