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2017.3.15.(水)

裸の魂vol.7 2日目後記!

総勢20組を集める『裸の魂vol.7』2日目の様子。

この日の司会はにしうりあっこ&秋本美穂。両者、司会は初挑戦である。しかも、両方しゃべりが得意とは言い難い。にもかかわらず、なぜこのような人選になったかと言うと、彼女らのひとりから「司会をやりたい」と逆オファーがあったからである。福井の人は、恥ずかしがり屋の人が多く、人前で喋ることをあまり得意と感じていない人が多い気がする。それは良い方に言えば、素朴な人柄の人が多いことの裏返しでもあり、その人柄自体は愛すべきものであることが多いし、音楽そのものは素晴らしいことも多い。だが、今の福井の音楽シーンのように、何かを創り発信していこう、という場合に人前でうまく自分をアピールできないのは、メリットよりデメリットの方が多いだろう。うまく喋れなくても、伝えようとする気持ちこそ大事だと思う。という訳で逆オファーを受け、彼女らに司会を頼んだ。正直このようなことは、ここに書くべきではないのかも知れない。けど、そういう裏方や、司会など演出面も含めて、福井は変わろうとしているし、すでに変わり始めている。非常に前向きな話なのである。

案の定、たどたどしく始まった司会。観てくれた観客の方々がどう思ったかは知らないが、応援しようとする気持ちは持っていただいていたみたいで、温かい空気に。正直僕はというと、この2人がステージで喋り始めた時から大船に乗った気持ち、という訳にはいかなかったが、ポジティブな気持ちで見守っていた。0を1にするという最も重要なことはすでにクリアーしていたから。あとは、成功するなり失敗するなりすればいい。無責任な言い方だなあとは思うが(笑)。ただこれだけは言いたいのが、失敗できるのは、挑戦した者だけだ。彼女らは最高です。

さて、2日目も濃い日になる予感。2日目トッパーはNATER。全国ヒッチハイクの旅のことを喋ったりして、皆の興味を弾いていた。彼をトッパーにしたのは、彼がとてもポジティブな空気を持っているからである。日曜というのは、心なしか、空気が重いし、心なしか気が重いものである。彼はそんな空気を、緩やかな軽いものにしてくれた。越廼村で自給自足の生活を営んでいるのは前に述べたが、生活=音楽というライフスタイルを感じるのは、この日の出演者のなかでは彼である。

八木秀樹さん。ソウルやブルースに影響を受けたその歌声を、遺憾なく発揮してくれたように思う。が、おそらく彼の本調子はまだまだこんなものではないことは簡単に予想がつく。最近はライブの頻度もかなり低いようだし。だがそれでも見事にコントロールされた歌声、カバー・オリジナルともに完成度の高い歌唱にうならされた者も多かったはず。歌一本、ギター一本で聞かせる技量は、今の福井弾き語りにはまだまだ足りないものの一つ。八木さんには、残してもらいたいものがまだたくさんあるように思った。

KAZUとT.S。滋賀からのゲストである。福井に関して言えば、ここ3年で弾き語り界隈の様子は明らかに変わったと言ってよい。プレイヤーの実力も上がってきているし、イベントの数も増えたし、どの会場に行っても割とお客さんがいる。県外に発信しようとする動きも出てきた。そういった中で、福井と隣り合っている県との交流は必要だと思っていた。そんな時にKAZUと出会った訳だが、彼は今滋賀でシーンを盛り上げようと奔走している。この日はもう一人滋賀から連れてきたいということで、T.Sと1ステージを2分割しての出演となった。そのガシャガシャしたインパクトに、場が沸いていた。

よしだゆうすけ。良くも悪くも、個人的な感情の揺れをステージにそのまま持ち込めるのが彼である。この日に彼を実際に観た者だけがわかる、観た者だけが彼の心のうちを垣間見る、そんなライブだ。ライブってのは元来そういうものだが、パブリックを押しのけてもプライベートを前面に押し出す彼がいて、観客もまたそれに涙する、ある種のクライマックス感と浄化され切らないカタルシスをともなって彼のステージは終了した。

タカハシケンジ。写真取り忘れにつき。彼のことをあまり知らない人は、「元メジャーアーティスト」「元ルーズドッグス」という肩書きだけを強く感じてしまいそうなのだが、そんなこと関係なしに、彼とて、いち現役ミュージシャンである。そんな今を生きるひとりとして僕はステージ上での彼を見たかったし、観客の方々にも見てもらえたらと思っていた。場の空気を和やかな、楽しげなものに変えられるのは、彼が持つ大きな資質なんだろうし、培ってきた財産なのだろう。

松尾ミツル。新潟からレコ発ツアーで来福。福井に来たのは初めてではない。2015年12月に拙企画『12月のソング・ボックス』に同じく新潟から出演した車イスのシンガーソングライター小日山敬介の付き添いで福井に来て、僕と初めて出会った。そして今回の裸の魂で、ミュージシャンとして初めて福井に来たというわけである。別バンドではドラマーも務める彼ならではの、リズミカルでひたむきなステージだったと思う。「弾き語りをやっていて初めて弦を切った」というほどに力の入った演奏で、福井に新鮮な風を吹き込んだのではないだろうか。

路地裏s。彼らの場合、一流の創作家、一流の表現者、というものの前に「一流の愛好家」を目指さなければならない、そしてそのことをどうステージで表現していくのか、それが自らにも問われているのだと思うが、この日もそれを前面に押し出そうとしていて、寸劇混じりの30分のライブとなった(持ち時間は20分である)。ギター籠氏の好むシュールな演出も手伝ってか、正直誰にでもわかる内容ではなかったと思う。それでも会場から忍び笑いが漏れてしまうのは、彼らの人柄や嶺南という土地柄が顕れているからに他ならないだろう。余所からのオファーも舞い込んできているらしい。どのような方向性に向かっていくのか、目が離せないところだ。

能勢愛子さん。裸の魂シリーズ全回出演は能勢愛子だけ、というのがはだたまにおける彼女のキャッチフレーズである。実際は、キャスティングしていない回もあったのだが、前日に出演者のドタキャンがあって、その場にいた能勢さんに急遽オファー。それ以降は名物化する形で毎回出演し続けている。名物化とは正しい表現とは思わないが、彼女の存在によって、何らかの核というか芯がイベントにもたらされている、そんなパーソナリティーの持ち主なのである。この日の演奏も、それを感じさせるものだった。

稲田一馬。写真なしにつき、はだたま後に行った片町のBarUTaでの一こまを。熊本出身、大阪在住で活動を続けてる稲田一馬。僕と初めて会ったのは、金沢のメロメロポッチでのライブだった。その時から彼ならではのキャラクターを発散させていたが、その後大阪のライブで偶然対バンとしてブッキングされ再会。福井にいないキャラクターなので早速来てもらった。彼の場合、キャラクターが完成されていると思いきや、まだまだ先があるような気もする。彼と話してみればわかるが、彼は人生に対して、音楽に対しても、かなり緻密な向かい合い方をしているのである。さらに進化して福井に戻ってきてくれる日が楽しみだ。写真の通り、彼にはその後の福井でのエピソードがあるようだ。

大トリ、やましんさん。今回は2曲だけの演奏で、2曲目の最後に2日間の司会者4人を呼び込んで(というか何も言わず加わる形でw)セッションで終わるという演出で締めくくった。セッションで終わるというのは裸の魂史上でも初めてだった。2016年を通じて、京都や滋賀など県外を含め、誰よりも足繁く活動をおこなった感のあるやましんさん。2017年はそれらの活動が、大きく実を結ぶことになるだろう。

恒例の集合写真である。小さなことだけど、この集合写真がそれぞれの思い出に残り、この1日がそれぞれにとって何らかの財産になれば言うことなしである。またそれぞれのフィールドに戻り、日々を生き、音楽を磨き、また大集合する。裸の魂の意義とはそれ以上でもそれ以下でもない気がする。前回に引き続き場所を提供してくれたLIVE&BAR13、復活後音響を担当していただいているan-panさん、すべての出演者と関係者、何より足を運んでいただいた観客の方々に、深く感謝。ありがとうございました。

次回『裸の魂vol.8』は、7/22(土)、7/23(日)に開催決定!すでに出演者のキャスティングが進んでいます。

ご期待下さい!

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